2024.03.08 猫の脱毛の原因は?|ストレスや体を舐めることが起因していることも
猫の皮膚に、毛が生えていない部分がみられたら「脱毛」の可能性があります。
愛猫に脱毛の症状がみられたら、不安になりますよね。
猫は、換毛で自然に毛が抜けることが多いため、飼い主様が脱毛の症状に気が付かないことが多いです。
しかし、抜け毛の量が増加する、脱毛が目立つ場合は何かしらの問題が考えられるため、脱毛の症状がみられたらそのまま放置せず、動物病院で受診することが大切です。
では、猫に脱毛や抜け毛の増加がみられた場合、どのような原因が考えられるのでしょうか?
今回は猫の脱毛の原因について、診断や治療、対処法などをご紹介していきます。
■目次
1.原因
2.診断方法・治療方法
3.対処法や予防策
4.まとめ
原因
猫の脱毛が発生する原因としては、下記があげられます。
・換毛期
・精神的ストレス
・食生活
・加齢
・生活環境によるアレルギー
・皮膚病
・怪我
・ホルモン疾患
・膀胱炎や関節炎
猫の換毛期は、春から夏、秋から冬にかけて2回発生します。この時期に猫の毛が抜けることは自然なことであり、特に心配する必要はありません。
しかし、猫は環境の変化に敏感なため、生活環境の変化などのストレスが原因で、過剰なグルーミング行動が起こることで被毛が薄くなったり、一部脱毛が起こったりすることがあります。
皮膚の外傷(ケンカ傷など)では傷周囲の脱毛が、甲状腺機能亢進症などのホルモン疾患では背中や体の側面を中心に脱毛や薄毛がみられることがあります。
また、皮膚病が原因で脱毛がみられる場合があります。
猫が脱毛してしまう皮膚病としては、下記があげられます。
<アレルギーやアトピー性皮膚炎によるもの>
猫のアレルギーやアトピー性皮膚炎は、年齢や性別を問わずに発生します。アレルギーの原因としては、フードや花粉などがあげられます。
アレルギーを発症すると、強い痒みが生じるため、自分で掻いたり、舐めたりします。特に顔や首周りにこのような症状が現れることが多いです。
花粉によるアレルギーの場合は、花粉の季節が終われば自然と症状も改善することが多いです。
<感染症によるもの>
猫の脱毛の原因となる感染症には、細菌感染と糸状菌(カビ)感染が存在します。
猫に細菌感染が発生すると発疹が現れてかゆみを感じ、その結果、引っ掻くことで脱毛します。
また、糸状菌症では、かゆみはほとんどありませんが、皮膚にフケを伴う脱毛がみられます。通常は、口唇や耳、四肢端などにみられますが、重症になると全身に拡がることもあります。
この糸状菌症は、人間にも感染するズーノーシス(人獣共通感染症)なので、早期発見・早期治療が非常に重要です。
<寄生虫によるもの>
猫がノミによる寄生やヒゼンダニによる疥癬(かいせん)症を発症すると、激しいかゆみが生じます。これが原因で、猫は自らの体を激しく引っ掻き、毛を噛みちぎることで、斑状に脱毛することがあります。さらに、猫の舌は粗い糸状乳頭というザラザラとした突起によって覆われているため、かゆい部分を頻繁に舐めることで、より広範囲に毛が抜け落ち、皮膚が露出することもあります。
特に、屋外で生活する猫や、屋外の猫と接触がある猫にこのような寄生虫感染による脱毛がよくみられるため、注意が必要です。
診断方法・治療方法
脱毛をしていること自体は視診だけで判断できますが、原因には様々なものが考えられるため、詳細な検査を通じて原因を突き止めることが必要です。
そのため、脱毛の初期段階では、被毛検査や皮膚掻爬(ソウハ)検査、スタンプ検査などの皮膚検査を実施します。皮膚に目立った異常がみられない、脱毛が左右対称である場合は、皮膚以外の原因が考えられるため、血液検査やアレルギーテスト、ホルモン検査などが必要になることがあります。
また膀胱炎や関節炎など、身体内部の痛み・違和感から皮膚を舐めることもあるため、疑わしい場合には尿検査やレントゲン検査も行います。
治療方法は、脱毛の根本的な原因に基づき、抗生物質、抗真菌薬、アレルギー対策、ホルモン療法、そしてストレス管理など、多岐にわたります。
また、皮膚炎が原因である場合は、シャンプー治療や食事療法、サプリメントの投与なども必要に応じて行っていきます。
対処法や予防策
猫に脱毛や抜け毛がみられたら、体の他の部分にも同様の症状がないかを探してください。また、脱毛している部位に引っかき傷、皮膚の赤み、または発疹が起きていないかをチェックしましょう。
さらに、猫の体を優しくブラッシングして、可能な限り抜け毛を取り除き、定期的に皮膚の状態をチェックして、普段と異なる変化がみられないかを観察しましょう。
もし、異変がみられた際はすぐに動物病院で受診することが大切です。
まとめ
猫の抜け毛や脱毛が増える原因には、感染症や寄生虫、アレルギーやアトピー性皮膚炎などがあげられます。中には、ほかの猫や人間へ感染する可能性もあるため注意が必要です。脱毛を発見した際は、見過ごさずに速やかに動物病院で受診することが重要です。
また、病院に行く際には、脱毛が始まった時期やどのように毛が抜けてきたのかを詳しく説明できるよう、事前に情報を整理しておくと良いでしょう。
■当院の関連する記事はこちらで解説しています
犬のクッシング症候群|肥満・脱毛・おしっこが増える病気です
犬や猫の夏に多い皮膚病ってどんな症状?│疾患別の原因や対策について
犬や猫の抜け毛の季節!対策と注意点を知ろう
茨城県下妻市・筑西市・八千代町を中心に診察を行う 稲川動物病院
0296-30-1311
診療案内はこちらから