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2023.06.23 犬や猫の夏に多い皮膚病ってどんな症状?│疾患別の原因や対策について

夏場は細菌が増殖しやすい環境にあるため、犬や猫の皮膚病が多く発生する傾向にあります。
皮膚病は放置していると、痒みや脱毛などの症状が見られ、ペットの生活の質も低下してしまうため注意が必要です。
本記事では、犬や猫の夏場に多い皮膚病の症状、原因や対策について解説します。

目次
1.犬や猫の皮膚病の症状・特徴
2.犬や猫の代表的な皮膚疾患の原因と対策
3.寄生虫による皮膚病
4.まとめ

犬や猫の皮膚病の症状・特徴

犬や猫の皮膚病の症状や特徴としては、以下の通りです。

・脱毛
・フケ
・カサブタ
・皮膚が脂ぎっている
・かゆみ
・発疹

犬や猫は、体が毛で覆われており、細菌や真菌が繁殖しやすかったり、汚れが排泄されづらかったりするので、皮膚トラブルが起こりやすいです。

また、内分泌疾患など体内のホルモン異常で皮膚症状が出ている場合もあります。皮膚病が進行すると、どんどん皮膚表面のバリア機能が崩れ、さらに症状が悪化します。

飼い主さんは、愛犬、愛猫の皮膚に異変を認めたらすぐに動物病院を受診するようにしましょう。

犬や猫の代表的な皮膚疾患の原因と対策

犬や猫の代表的な皮膚病は以下の通りです。

・アトピー性皮膚炎
・細菌性皮膚炎
・脂漏症
・マラセチア性皮膚炎
・皮膚糸状菌症
・ホルモン性疾患
・寄生虫による皮膚病

それぞれについて、原因や対策を含め解説していきます。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、犬や猫によく見られるアレルギー性の皮膚疾患です。主な原因は、花粉、ハウスダスト、ノミなどのアレルゲンに対する過敏反応です。

症状としては、かゆみ、皮膚の赤み、腫れ、湿疹、皮膚の乾燥、脱毛などが挙げられます。
犬では、足や腹部、顔などに症状が現れることが多く、猫ではお腹や足などを舐めて脱毛し、脱毛した部分が赤くなる症状が現れます。

対策としては、部屋を掃除する、空気清浄機を用いるなどの対策が考えられますが、環境中のアレルゲンを防止することは極めて困難です。

動物病院を受診して、アトピー性皮膚炎を緩和する薬やシャンプー療法を行うようにしましょう。

細菌性皮膚炎

細菌性皮膚炎は、犬で多く見られますが猫にも見られる皮膚感染症です。

症状としては、皮膚の赤み、腫れ、かゆみ、脱毛、悪臭、膿などが挙げられます。

対策としては、薬の内服とシャンプー療法が有効です。
また、アトピー性皮膚炎と細菌性皮膚炎が併発している場合もあるため、注意が必要です。

脂漏症

脂漏症は、猫ではあまり見られず、犬に多く見られ、過剰な皮脂の分泌などが特徴的です。

犬では、背中、首回り、耳、尾の付け根、指の間などの皮膚に影響を及ぼすことが多く、症状としてはフケや痒み、皮膚や毛のべたつき、独特な体臭などの症状がでます。

対策としては、遺伝的要素があるため完全に予防することは難しいですが、食事の見直しや薬剤の入ったシャンプーケアを行いしっかりと保湿することが大切です。

マラセチア性皮膚炎

マラセチア性皮膚炎は、猫ではあまり見られず、犬に多く見られる皮膚疾患です。
マラセチアと呼ばれる真菌による感染症で湿気が多い環境や脂漏症の子で多くみられ、外耳炎なども併発します

症状としては、痒みや脱毛、首や脇などに赤みが生じます。

対策としては、抗真菌薬やシャンプー療法が有効です。

皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症は、犬や猫によく見られる真菌感染症です。
原因としては、感染している動物から他の動物への感染や生活環境中に存在している菌から感染します。
子犬、子猫など、免疫があまり強くない子によくみられる疾患です。
また、人間にも感染する可能性があるため注意が必要です。

犬では皮膚の赤みやフケなどが見られ、猫では脱毛や痒みなどがみられるので異変を感じた際には、早めに動物病院を受診しましょう。

ホルモン性疾患

ホルモン性疾患は、犬や猫に見られる皮膚疾患です。

甲状腺や副腎疾患によって、脱毛が引き起こされる場合があります。ホルモン性疾患による皮膚病は、痒みが少なく脱毛が左右対称に起こるのが特徴です。

感染性の皮膚病と見分けるのは、困難な場合もあるため一度動物病院を受診し、適切な投薬治療を行いましょう。

寄生虫による皮膚病

・ノミアレルギー性皮膚炎
ノミアレルギー性皮膚炎は、犬や猫に見られる皮膚疾患です。
原因としては、ノミの唾液に含まれるアレルゲン物質に対する過敏反応が挙げられます

対策としては、ノミ駆除薬や予防薬の使用が効果的です。獣医師に相談して適切な製品を選びましょう。

犬や猫のノミ・マダニの予防医療の重要性についての記事はこちらから

・疥癬症(かいせんしょう)
疥癬症とは、犬や猫に見られる皮膚疾患です。
原因として、目視で確認できないほど小さなヒゼンダニが寄生し感染します。

対策としては、外猫やタヌキなど感染動物との接触を避けるようにしましょう。

・蚊刺咬性過敏症
蚊刺咬性過敏症は、猫に多く見られるアレルギー疾患です。
主な原因は、蚊の唾液に含まれるアレルゲンに対する過敏反応です。

また、蚊はフィラリア症という感染症を媒介し、犬や猫に病気を引き起こします。
フィラリア予防診療の重要性についてはこちらから

寄生虫による皮膚病の予防としては猫は屋外に出さないようにし、お散歩が必要な犬は予防薬を投与するなどの対策を行いましょう。

まとめ

本記事では、犬や猫の皮膚疾患の症状や原因、対策について解説しました。皮膚疾患を引き起こす原因は非常に多く、診断には注意が必要です。
また、茨城県では地域的に寄生虫による皮膚病(ノミアレルギー性皮膚炎・疥癬症蚊刺咬性過敏症など)を発症する事例も多くあります。
飼い主さんは、異変を認めたらすぐに動物病院を受診するようにしてください。

茨城県下妻市・筑西市・八千代町を中心に診察を行う 稲川動物病院
0296-30-1311

【参考文献】
獣医内科学 第2版p536~544