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2024.03.08  猫の糖尿病について|肥満予防と早期発見が重要

糖尿病は主に人間の病気として広く知られていますが、実は猫にも発症することがあります。とはいえ、猫と人間では少し異なる点もあります。

糖尿病は、血液中のブドウ糖である「血糖」が増えすぎてしまう病気です。血液中には通常、一定量のブドウ糖が存在しており、膵臓から分泌されるインスリンによって血糖値が調整されています。インスリンの不足や効果の低下が原因で、高血糖状態になることを糖尿病といいます。
また、放置すると昏睡状態から最悪の場合死に至る可能性もあるため、早期発見して適切な治療を行うことが大切です。

今回は猫の糖尿病について原因や症状、治療方法などをご紹介していきます。

■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

原因

糖尿病は、膵臓から分泌するインスリンが十分に作用しないことで起こる疾患です。
インスリンの作用不足にはいくつかの原因があり、ヒトでは遺伝的要因や膵臓の疾患によりインスリンの分泌が不足する「Ⅰ型」と、インスリン自体は正常に分泌されるものの、肥満やストレスなどの環境要因によってインスリンの効果が低下する「Ⅱ型」に分かれます。

猫の糖尿病においてはⅡ型に似たタイプの発症率が高いといわれています。また、犬と比較すると、猫は糖尿病にかかりやすい傾向にあるため、日常生活において健康的な生活習慣を心がけることが重要です。

症状

猫の糖尿病は、初期と末期で症状が大きく異なります。

<初期症状>
猫の糖尿病では初期段階で症状が出ることは少なく、病気の進行も遅いため、飼い主様は初期症状に気づかないことが多いです。

しかし、病気が進行し血糖値が高くなると、多飲多尿や食欲の増加、体重の減少などの症状が現れはじめます。特に食べる量は多いのに体重が減るという状態がみられた場合には糖尿病のサインである可能性が高いため注意が必要です。
また、それ以外の症状としては細菌性の膀胱炎や皮膚炎など様々な感染症にかかりやすくなります。
膀胱炎になるとトイレに行く回数が増えたり、いきんだりしながら排尿する、血尿が出るといった症状がみられます。

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<末期症状>
糖尿病が末期に達すると、腎機能障害や白内障、肝疾患などの深刻な合併症を伴うことがあります。この段階の糖尿病では、歩行時の不安定さや下痢、嘔吐、食欲不振などの症状がみられ、毛並みも悪くなります。

さらに、ケトアシドーシスと呼ばれる状態に陥ると、神経障害や昏睡、呼吸困難などが起こり命を落とす恐れもあるため、速やかな治療が求められます。

診断方法

診断方法は、尿検査血液検査によって行われます。
ただし、猫では来院時のストレスや興奮が原因で一時的に高血糖になる場合があるため、過去2週間の血糖値の指標となるフルクトサミンを測定する場合もあります。

また、血液を検査機関に送り、グリコアルブミンなどの長期的な血糖値の傾向を確認します。

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治療方法

血糖値を管理し、合併症のリスクを減らすことが治療の目的になります。そのためには、インスリンの投与や栄養管理、そして運動をバランス良く取り入れることが必要です。

インスリンの量は適切に調整する必要があるため、少なすぎると効果が得られず、多すぎると反対に低血糖を引き起こす可能性があります。そのため、血糖値を定期的にチェックしながら、インスリンを適切な量に調整することが求められます。飼い主様は、自宅でインスリン注射を行うだけでなく、食事の管理や飲水量、尿量の変化を注意深く観察し、日々の体重管理にも注意することが重要です。

また、食事に関しては最初に決められたプランを継続していくのではなく、定期的に検査を行いその時の猫の状態に合わせて適した食事プランに変更していくことが大切です。

予防法やご家庭での注意点

糖尿病の予防には、適度な食事や運動、ストレスのない生活などが大切です。必ずしも肥満で糖尿病になるとは限りませんが、日常から愛猫の体重管理を行うことが重要です。
また、定期的な健康診断を受けることで早期発見に繋がることもあります。

まとめ

猫の糖尿病は、初期段階であれば数ヶ月後にはインスリン注射が不要となる場合もあります。しかし、初期症状は食欲の増加、多飲多尿、軽度の体重減少という程度なので、早い段階で気づくことがなかなか難しい病気です。疑われる場合は早期発見のため、積極的に体重や健康チェックを行いましょう。
また、肥満やストレスから糖尿病を発症してしまうケースも多いため、食事や生活環境には十分に注意しましょう。

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