2024.04.08 猫の膀胱結石について┃健康診断で早期発見を!
猫の膀胱結石は、膀胱に石状の塊ができる病気です。無症状の場合もありますが、血尿や痛みを伴うこともあります。結石には複数の種類があり、それによって原因や治療方法が異なります。
今回の記事では猫の膀胱結石について、特に代表的な2種類を解説し、原因や治療方法などを詳しくご紹介します。
■目次
1.膀胱結石の種類と原因
2.診断・治療
3.対処法や予防策
4.まとめ
膀胱結石の種類と原因
膀胱結石にはいくつかの種類があり、原因はそれぞれの結石によって異なります。ここでは特に代表的なストルバイト結石、シュウ酸カルシウム結石という2つの結石について解説します。
<ストルバイト結石>
最も一般的な膀胱結石で、原因はリン酸アンモニウムマグネシウムという物質が結石化することです。食事中のミネラルやタンパク質が多い、食事や薬、腎臓の病気などで尿がアルカリ性になっている、飲水量が少なく尿が濃くなるなどが重なるとストルバイト結石が発生しやすくなります。
<シュウ酸カルシウム結石>
ストルバイト結石の次に一般的な結石で、シュウ酸カルシウムという物質が結石化します。遺伝、性別、食事、尿が酸性に傾くことなどが関わり、特に、高カルシウム食とストルバイト結石治療のための療法食で尿が酸性に傾くことは大きな原因となります。
診断・治療
診断は尿検査の他、レントゲン検査やエコー検査で行います。無症状でも結石ができていることもあるため、定期的な健康診断で膀胱結石の有無も検査してもらうと良いでしょう。
治療方法は、結石の種類によって異なります。膀胱結石があることがわかったら、種類を確認してから治療に入るのが基本ですが、尿中に結晶が検出されない場合は種類の同定が困難なため、仮診断で治療を始めることもあります。
また、猫の場合結石よりもさらに粒が小さな結晶の段階で膀胱炎や尿道閉塞を発症して、膀胱結石と診断されるケースが多く見られます。
ストルバイト結石の治療は、療法食によって尿を酸性に傾けることで結石を溶かします。結石ができやすい体質の子や再発を繰り返す子もいるため注意が必要です。尿石用の療法食はいくつか種類がありますので、猫ちゃんの好みに合わない・経済的に続けにくい等の場合でも、自己判断で食事を変えずに一度動物病院に相談しましょう。
シュウ酸カルシウム結石は溶かすことができないため、状況に応じて経過観察とするか、外科的に手術で摘出します。犬に比べ猫の場合はそれほど大きな結石ができることは少ないですが、膀胱炎の原因になるため、手術で取り除く・食事療法で悪化を予防する等の治療を行うことが一般的です。
対処法や予防策
膀胱結石の予防として飼い主様にできることは、適切な食事を与えることとたくさん水を飲ませて排尿させることです。バランスの取れた食事を選び、ミネラルを多く含む煮干しなどは与えすぎないようにしましょう。
特に猫はあまり自分から水を飲まない傾向があるため、水皿を複数箇所に設置したり、水飲み器を利用して動く水を利用したりなどできる限り飲水を促す工夫が大切です。
排尿を我慢することも結石形成の一因となるので、利用したい時にすぐ使えるようにトイレを常に清潔を保ち、できれば複数箇所に設置すると良いでしょう。
また、肥満は下部尿路疾患のリスクを上げるとされているため、太らせないように気をつけることも大切です。
まとめ
今回の記事では猫の膀胱結石についてお伝えしました。膀胱結石は、ストレスも関わると言われているため、猫がしっかりと運動してストレス発散できる環境も大切です。注意していても体質的に発症してしまう子もいるため、動物病院で定期的に検査を受けて早期発見を心がけましょう。
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猫の膀胱炎について
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