2022.11.01 猫の膀胱炎について
愛猫にトイレの回数が多い、尿が少量もしくは出ない、排尿時に痛そうに鳴く、トイレ以外の場所へ排尿するといった症状はありませんか?
これらの症状は、膀胱炎のサインです。
猫の膀胱炎は、これからの冬に多く発症し、飼い主様を悩ます身近な病気のひとつです。
今回はこの病気について正しく理解し、適切な治療が出来るように症状、原因、治療方法から予防方法まで説明します。
症状
膀胱炎の主な症状は、トイレに行く回数が多い、尿が少量もしくは出ない、排尿時に痛そうに鳴く、トイレ以外の場所に排尿する、尿が赤い(血尿)ことです。
膀胱炎は、室内飼育の猫で冬に多くみられ、猫の約60%が発症しているという報告があります。
膀胱炎による炎症から尿道が閉塞し、尿が出ない尿閉という危険な状態を引き起こす可能性があります。
尿閉の状態から1日以上経過してしまうと命の危険が生じてきます。
尿閉は重症化すると死亡率も上昇し、長期化すると腎臓病へ発展する恐れもあります。
愛猫の異変に気づいたら、早めに動物病院を受診しましょう。
原因
膀胱炎の原因は、尿石、尿路感染症、膀胱の解剖学的異常などがありますが、原因が特定できない場合も多くあります。
膀胱炎の発症リスクを上げる要因は、肥満、室内飼育に伴う活動性の低下、冬場やドライフードのみの給餌による水分摂取量の低下、不適切なトイレ環境による排尿回数の低下、神経質な性格などがあります。
多くの場合、猫は何らかのストレスを抱えている場合が多く見られます。
治療方法
猫の膀胱炎の治療は原因によって異なり、治療が遅れると重症化する可能性があるので注意が必要です。
内科治療では、膀胱炎の原因が溶解可能な結石の場合は療法食を使用し、細菌感染が認められた場合は抗菌薬を使用します。
猫のストレスを和らげるために、心を落ち着かせるサプリメントも効果があります。
尿路閉塞がある場合は、緊急性が高く、入院治療が必要な場合もあります。
膀胱の解剖学的異常がある場合は、外科治療が選択肢にあがることもあります。
早期に膀胱炎の治療を開始することで、症状の重症化を防ぎ、体の回復を早めることができます。
予防方法
膀胱炎の予防は、日常生活の見直しが大切です。
重要なポイントは、飲水量の増加、運動量の増加、ストレス緩和です。
飲水量の増加は、普段ドライ食であれば缶詰のウェットフードに変更します。
また、猫の好む水飲み場の提供も効果的です。運動量の増加は、オモチャやキャットタワーの使用で運動量を増加できます。
ストレス緩和は、トイレの数を増やす、トイレを清潔に保つ、プライベートスペースを確保するなど、猫の生活の質を改善します。
まとめ
猫の膀胱炎は冬に多く発症し、治療が遅れると重症化する危険性の高い病気です。
膀胱炎の原因として、ストレスも大きな要因のひとつになっています。
予防方法は、飲水量と運動量を増やしストレスを軽減させる・猫の生活環境を改善することです。
愛猫の様子が普段と違う、膀胱炎を疑う症状がある場合は、早めに動物病院の受診をおすすめします。
気になることがあれば、当院へご相談ください。
※受診の際愛猫の尿をお持ち頂けると診断しやすくなりますので、可能であればお持ちください
茨城県下妻市・筑西市・八千代町を中心に診察を行う 稲川動物病院
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