2023.12.26 犬や猫の白内障について┃目に白い濁りがみられる
最近、愛犬や愛猫の目が白いと感じたことはありませんか。もしかしたらそれは、目の内部に位置する通常は透明な「水晶体」が、何らかの原因で不透明に濁る「白内障」かもしれません。猫では稀ですが犬では比較的よくみられ、人間とは異なる部分が多くあります。
そこで今回は、犬や猫の白内障についてご紹介していきたいと思います。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
水晶体は主にタンパク質と水分から構成されていますが、何らかの理由でタンパク質が変性すると白く濁ってしまいます。
・犬の場合
人間と同様、加齢によって起こることもありますが、他にも遺伝や外傷、糖尿病、ぶどう膜炎などが原因で起こることもあります。また、遺伝性の場合は若齢で発症することが多く、短期間で一気に進行する傾向にあります。
・猫の場合
猫同士のケンカなどによるケガが原因で起こることがほとんどですが、中毒が原因で起こることもあります。
また、白内障と核硬化症はどちらも水晶体が白くなるため混同されがちですが、実際には異なるものです。核硬化症とは、加齢によるものであり治療の必要はありませんが、白内障は病気であり、視力の低下や様々な合併症を引き起こす可能性があります。そのため、白内障には経過観察や治療が必要になります。
症状
物によくぶつかる、寝ている時間が増える、神経質になるなどの視覚障害がみられますが、グレードによって程度が異なります。
・初発白内障
わずかな濁りのみで、視覚障害もほとんどみられません。そのため、気づかない飼い主様がほとんどです。
・未熟白内障
白濁が部分的で視覚障害はないものの、暗い場所で動きが鈍くなるなど症状が徐々に進行します。眼球が白濁するため、多くの飼い主様がこのタイミングで来院します。
・成熟白内障
水晶体全体が白く濁り、視力の低下が顕著となります。
・過熟白内障
水晶体のタンパク質が溶け出し、視覚を喪失しています。また、ぶどう膜炎を併発し、緑内障を引き起こすこともあります。
診断方法
主にペンライトや細隙灯顕微鏡を使って、水晶体の濁りを確認することで診断します。また、目の前に綿球を落とす「綿球落下試験」や、急に目の前に手をかざす「威嚇瞬き反応」、光を当てて瞳孔が小さくなるか確認する「対光反射試験」などを行って、視覚があるかどうかを判断します。
治療方法
治療には外科療法と内科療法があります。
外科療法では、一度濁ってしまった水晶体を元の透明な状態には戻せないため、濁った水晶体を摘出し人工のレンズを入れる外科手術を行います。
また、手術を行うことが難しい場合は白内障の進行を遅らせることや、合併症の予防や治療のために点眼薬を使った内科治療を行います。
予防法やご家庭での注意点
残念ながら予防法はないため、目にケガを負わないように気をつける、食事管理や適度な運動によって糖尿病にならないようにするなど、原因となる要素を少しでも取り除くことが重要です。
また、初期の段階では飼い主様が目を覗き込んでみても気が付かないこともあり、病気に気がつく頃には成熟白内障にまで進行していることがほとんどです。そのため、年齢に関係なく目の定期検査を受けるようにしましょう。
もし、水晶体ではなく角膜が白くなっている場合、角膜の病気や緑内障など、すぐに治療をすべき病気のこともあるため、「目が白くなったから白内障だ」と自己診断せずに目の異常を感じたらすぐに受診しましょう。
まとめ
目の一部もしくは全体が白い、暗い場所での動きが鈍い、目が見えにくそうなどの症状が見られる場合は白内障が疑われるため、なるべく早急に動物病院を受診するようにしましょう。
また、当院でも眼科の専門診療を行っております。原則として紹介制となっていますが、眼科診療をご希望の場合はまずはお電話にてお問い合わせください。
茨城県下妻市・筑西市・八千代町を中心に診察を行う 稲川動物病院
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