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2023.09.19  猫が噛む理由と正しい対処法について│人間が感染する病気も⁉

いくら大好きな猫でも、噛まれてしまうと痛いですし、悲しい気持ちになりますよね。
しかし、どう対処したらいいのか分からない飼い主様も多いのではないでしょうか。
対処法を間違ってしまうと、ますます噛むようになるなど困った行動が続くことがあります。

新しく猫ちゃんを迎えたら

そこで今回は、猫が噛む理由と正しい対処法について解説していきます。

■目次
1.猫が噛む理由は?
2.甘噛みと本気噛みをさせないための対処法
3.猫に噛まれると発症する人間の病気について
4.猫に噛まれたら
5.まとめ

猫が噛む理由は?

猫が人や物を噛む理由はいくつかありますが、ここでは4つご紹介します。

1.「嫌だ」「怖い」という意思表示・ストレスや不安

猫がストレスや不安になると、その感情を発散させるため噛むことがあります。模様替えや引っ越しなどによる生活環境の変化や、通院、来客、飼い主様の接し方などがストレスの原因となります。

環境の変化によるストレスで攻撃的になってしまうこともありますが、どちらかというと多いのは「嫌なことや怖いことをされたとき」に「嫌だ、やめて!」という意思表示として噛むケースです。例えば、お昼寝中に突然触ったり、爪を切ろうとした時などがあげられます。

2.遊びや狩りの本能

もともと野生で暮らしていた猫は、狩りをして生き延びてきました。そのため、人が手や足を動かした時、獲物のように見え本能的に追いかけたり、噛んだりすることがあります。

例えば、一緒に遊んでいて手にじゃれて噛むケースや、猫の近くを歩いた際に足に飛びかかってきて噛む場合はこれに当てはまります。特に子猫や若い猫の噛みつきはほとんどがこのパターンで、通常は3〜4歳くらいになるとだいぶ落ち着きます。

ただし、「噛み付くと飼い主さんが反応してくれる」「噛んだら嫌なことをやめてくれた」というように飼い主様の反応を見て学習を重ねると、噛み癖がエスカレートし治りにくくなってしまいます。

3.欲求の充足

遊んで欲しかったり、ごはんが欲しかったり、何か欲求がある時に噛むことがあります。
また、過去に噛むことによって欲求が満たされた(飼い主さんが反応してくれた)場合、繰り返すこともあります。

例えば、猫が遊びたくても遊ぶ相手がいなかったり道具がなかったりすると、家具や人を噛むといった行動が見られます。

4.痛みや不調

猫が体のどこかに痛みを感じているときや、健康的に何か問題がある場合、触れられることに敏感になり、噛んでしまうことがあります。

例えば、歯や歯茎の問題、関節の痛み、皮膚の炎症などが考えられます。

 

甘噛みと本気噛みをさせないための対処法

噛む理由についての対処法を、順番にご紹介いたします。

1.ストレスや不安

猫が隠れる場所や高い場所(キャットタワー)を設けて、ストレスを感じた時に逃げ込める場所を作りましょう

また、爪切りなど猫が嫌がることは動物病院にお願いし、できる限り噛まれないようにしましょう。
猫の自宅でできる爪切りのコツについてこちらで解説しています。

2.遊びや狩りの本能

手で遊ぶことを繰り返していると、手は噛んでもいいものと間違えて覚えてしまう可能性があります。
噛んでもいいおもちゃ(猫じゃらし(人と遊ぶときのみ)、けりぐるみ、動く玩具など)を与え、それで遊ぶようにしましょう

また、興奮しすぎて噛まれそうと感じたら、噛まれる前に手を引くようにしましょう。

3.欲求の充足

キャットタワーやキャットウォークを設置して、猫が探索や高い場所への昇り降りを楽しむことができる環境を作りましょう

また、噛まれた際は甘噛みでも、「痛い」「ダメ」と少し大きめの声で伝え、噛むのはいけないと伝えましょう。
噛まれた後に食事を与えたり構ったりすると要求噛みが習慣になってしまいます。飼い主様は意図せず行っていることも多いので、要求噛みに悩んでいる方はそのような対応をしていないか振り返ってみると良いでしょう。

4.痛みや不調

特定の部分に触ったとき、噛んだり、避けたり、体調が悪そうな時は原因を確認する必要があります。
猫の様子がいつもと違うと感じたら、動物病院に相談しましょう

 

猫に噛まれると発症する人間の病気について

猫に本気で噛まれた場合、怪我だけではなく感染症を引き起こすことがあります。
主な病気や感染症には以下のようなものがあります。

1.猫ひっかき病

猫に噛まれたり、ひっかかれたりしたときに起こる疾患です。症状は、リンパ節の腫れや発熱、倦怠感が現れます

2.パスツレラ症

犬や猫に噛まれた場合に起こる感染症です。症状は、傷の周辺が急激に腫れ上がり痛みを伴います。また、放置すると細菌が血液に入り、敗血症の原因となることもあります。

3.カプノサイトファーガ感染症

犬や猫に噛まれた場合に起こる感染症です。一般的には、感染後数日以内に発熱、腫れ、関節痛、腹痛などの症状が現れます。重症化すると、敗血症や多臓器不全、皮膚壊死などの合併症が生じることがあります。
カプノサイトファーガの感染自体は比較的まれですが、一度感染すると重篤な状態になることがあるため、注意が必要です。

 

猫に噛まれたら

猫に噛まれた場合、まず傷口を流水でよく洗い、消毒することが大切です。
そして、噛まれた傷が深い、上記の症状が現れる、免疫力の弱い方が噛まれた、または猫の健康状態が分からない場合は、速やかに医療機関での診察を受けることを推奨します。

 

まとめ

今回は、猫が噛む理由と正しい対処法について解説いたしました。
猫に噛まれると、怪我をしたり感染症になったりする可能性があります。噛む原因を特定し、適切な対応を取ることが重要です。
噛む癖が治らない場合や、ご不明点などがございましたらぜひ当院にご相談ください。

茨城県下妻市・筑西市・八千代町を中心に診察を行う 稲川動物病院
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