2025.12.17 犬と猫の目やにが急に増えたら要注意!|原因・病気・ケア方法を解説
最近、愛犬や愛猫の「目やにが急に増えた」「片方の目だけ目やにが出ている」「目やにの色が緑や茶色に変わった」といった変化に気づいたことはありませんか?
目やにをただの汚れだと考えてしまう飼い主様もいらっしゃいますが、実は病気のサインである可能性もあります。犬や猫の目は非常にデリケートなため、わずかな変化でも早めに気づいてあげることが、視力を守るうえでとても大切です。
今回は犬や猫の目やにについて、色や量の変化から分かる病気や、見逃してはいけない症状などについてご紹介します。

■目次
1.正常な目やにと異常な目やにの違い
2.【色別フローチャート】目やにの色から考えられる病気
3.原因
4.検査と診断方法
5.治療方法
6.当院の眼科診療について
7.まとめ
正常な目やにと異常な目やにの違い
犬や猫が健康な状態でも、寝起きに目頭に少量の透明〜薄茶色の目やにが付いていることは珍しくありません。これは自然な生理現象であり、問題のない範囲です。
しかし、目やにの量が急に増えたり、粘り気が強く拭いても取りにくくなったり、目が開けられないほどこびりつくような状態であれば、注意が必要です。こうした症状の背後には、目の炎症や感染症、涙の通り道に異常がある場合があります。
次に紹介する目やにの色別チェックを参考にしながら、どのような病気が考えられるのかを見ていきましょう。
【色別フローチャート】目やにの色から考えられる病気
目やにの「色」は、目の状態や緊急性を判断する大きな手がかりになります。色別に考えられる代表的な疾患と、その際に見られる注意すべき症状は以下の通りです。
<白・透明で量の多い目やに:軽度>
比較的軽度な異常が考えられますが、以下のような病気を起こしている可能性もあるため、油断は禁物です。
◆アレルギー性結膜炎
花粉やハウスダストなどの刺激により、透明〜白っぽいサラサラした目やにが出ます。かゆみや涙の増加、目をこする仕草が見られます。
◆ドライアイ(乾性角結膜炎)
涙の分泌が減少し、目の表面が乾燥して炎症を起こします。目を細める、瞬きが増える、濁りが出るなどの症状が現れます。
▼犬のドライアイ(乾性角結膜炎)の原因や治療方法についてより詳しく知りたい方はこちら
◆軽度の刺激性結膜炎
シャンプーやほこり、煙などの外的刺激によって一時的に発症しますが、繰り返す場合は注意が必要です。
<黄色・緑色の目やに:中等度>
細菌感染が関係していることが多く、以下のような病気を発症している可能性があります。そのため、できるだけ早い段階で受診することをおすすめします。
◆化膿性結膜炎
細菌感染により、黄色〜緑色の粘り気のある目やにが多量に出ます。目の充血や腫れ、開けにくさを伴うことがあります。
◆角膜潰瘍
異物が目に入ったり、外的衝撃を受けたりした際に起こります。目に血がにじむような茶色や赤い目やにが出る場合は、直ちに受診が必要です。
◆涙囊炎
涙の排出路である鼻涙管が炎症を起こし、細菌が繁殖することで膿のような目やにが出ます。特に片目だけに症状が見られることが多いのが特徴です。
<茶色・茶褐色で量の多い目やに:重度>
出血が関与している可能性があり、以下のような病気が疑われます。緊急性が高い状態であることも多いため、早急に動物病院での診察を受けることが大切です。
◆角膜潰瘍
角膜が深く損傷した状態で、強い痛みから目を閉じたままにしたり、顔をこすりつけたりする行動が見られます。放置すると視力を失う危険もあります。
◆外傷・異物混入
散歩中に植物や砂が目に入ることで、炎症を起こし赤い目やにが見られます。異物を取り除かずに放置すると悪化します。
◆ぶどう膜炎・緑内障
眼球の内側に炎症や圧力異常が起きる疾患で、失明のリスクも高い病気です。瞳の濁り、光を過剰にまぶしがるなどの症状が特徴です。
原因
犬と猫では共通して見られる原因が多い一方で、以下のようにそれぞれ特徴的な原因が見られる場合もあります。
<犬の目やにの原因>
涙の量が少ない、まぶたやまつ毛の異常による刺激、アレルギーなどがあげられます。特に短頭種の犬では涙が蒸発しやすく、目やにが溜まりやすい傾向があります。
<猫の目やにの原因>
ヘルペスウイルス性やクラミドフィラ性による感染性の結膜炎がよく見られます。ストレスによって免疫力が低下すると、こうしたウイルス性の目の病気が繰り返し発症することもあります。
どちらの場合も慢性化しやすいため、症状が軽いうちからの観察と対処が大切です。また、目やにの異変に気づいたら、発症した日、目やにの色や量などをメモしておくと、診察時に役立ちます。
検査と診断方法
当院では、以下のような検査を組み合わせることで、目やにの原因を正確に特定しています。
・スリットランプ検査:目の状態を詳しく確認します。
・眼圧測定:緑内障やぶどう膜炎など、眼球内の圧力に異常がある病気をチェックします。
・涙液検査(シルマーテスト):涙の量を測定し、ドライアイの有無を確認します。
・染色検査(フルオレセイン染色):角膜に潰瘍がないかを特殊な染料で調べます。
・角膜結膜細胞診:感染の有無や、炎症の程度を確認します。
これらの検査は、犬や猫に過度な負担をかけないように配慮しながら実施しています。なお、飼い主様にも検査の内容を丁寧にご説明し、安心してご相談いただける診療を心がけています。
検査の内容について、ご不安なことやご不明点などございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
治療方法
治療は、目やにの原因や病気の種類によって大きく異なります。
・細菌感染が原因の場合:抗生物質の点眼薬や内服薬を使用します。
・アレルギーが原因の場合:原因となるアレルギー症状を抑える治療を行います。
・角膜に傷がある場合:傷の深さに応じて保護点眼や外科的処置を行います。
・涙の通り道が詰まっている場合:鼻涙管洗浄などの処置を行い、涙の流れを改善します。
いずれの場合も、早期に適切な治療を行うことで視力の低下や症状の悪化を防ぐことにつながります。
治療の選択にあたっては、飼い主様に状態や治療方針を丁寧にご説明し、不安なくご自宅でケアしていただけるようサポートいたします。
当院の眼科診療について
当院では、眼科診療に力を入れており、月に数回、眼科専門医による診察も実施しています。細部まで確認できる検査機器を活用し、病気の原因に応じて点眼薬や内服薬の処方、場合によっては外科的処置まで幅広く対応しています。
また、皮膚科や行動診療科と連携し、アレルギーやストレスなど目の不快感を引き起こす背景要因にもアプローチしています。診察では、飼い主様との対話を大切にしながら、不安や疑問をしっかりと解消できるよう心がけています。
まとめ
目やには、犬や猫の体から発せられる小さなSOSです。目やにが急に増えた、色がいつもと違う、片目だけ目やにが出ているといった変化にいち早く気づくことが、病気の早期発見と治療につながります。
「目が開かない」「目やにが大量に出ている」「色が緑や茶色で濃い」など、普段と違う症状があれば、迷わず動物病院を受診することが大切です。
当院では、一般診療だけでなく専門的な眼科診療にも対応し、犬や猫の大切な目と視力、そして健やかな生活をしっかりとサポートいたします。
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