2025.04.18 犬が足を舐める行動の真実|皮膚炎から習慣までの原因と対策
愛犬が足をしきりに舐めている姿を見て、「なんでこんなに舐めるのだろう?」と不安になったことはありませんか?ちょっとした癖のようにも見えるこの行動の裏には、実は体の不調やストレスが隠れていることもあります。
特に、近年ではトリミングサロンで「足の皮膚が赤くなっている」と指摘され、動物病院で皮膚炎と診断されるケースも増えています。犬が足を舐める理由を正しく理解することは、愛犬の健康を守る第一歩です。
今回は、犬が足を舐める行動の背景と考えられる原因や飼い主様ができる対処法、日常のケアなどについて解説します。
■目次
1.犬が足を舐める理由とは?
2.犬の足の健康:赤い皮膚と舐め行動の関係
3.痒みの原因:アトピー性皮膚炎とアレルギー性皮膚炎
4.診断方法
5.治療方法
6.ご自宅でのケア
7.よくある質問
8.まとめ
犬が足を舐める理由とは?
犬が足を舐める行動には、以下のようにさまざまな理由が考えられます。
<皮膚炎>
皮膚に炎症が起きているときは、痒みを感じて舐めることがあります。
<ケガや異物>
足の裏に小さな異物が挟まっていたり、傷ができていたりする場合にも違和感から舐めてしまいます。
<関節痛>
関節に痛みがあるときも、自分で痛みを和らげようとして足を舐めることがあります。
<ストレス>
犬は退屈や不安などのストレスを感じたときにも、自分を落ち着かせるために足を舐めることがあります。これは「自分をなだめる行動」とも呼ばれ、飼い主様が見過ごしてしまいがちな心理的サインのひとつです。
このように、犬の足を舐める行動には身体的な異常だけでなく、精神的な要因も隠れていることがあるため、注意深く観察することが大切です。
犬の足の健康:赤い皮膚と舐め行動の関係
犬の足の皮膚が赤くなり、しきりに舐めるような行動が見られる場合は、皮膚炎を疑う必要があります。皮膚炎は、犬がかかりやすい皮膚のトラブルのひとつで、特に足先や指の間などは炎症が起きやすい部位です。
皮膚炎の初期症状としてよく見られるのが、「赤み」「痒み」「舐め行動」の3つです。赤みは炎症のサインであり、犬が頻繁に舐めたり噛んだりしている部分が赤く腫れているように見えることがあります。また、舐めすぎることでさらに炎症が悪化し、痒みが強くなってしまうという悪循環に陥るケースも少なくありません。
こうした状態を放置すると、皮膚がただれてしまったり、細菌感染を起こしたりすることもあります。そのため、犬が足を執拗に舐める行動を見かけた場合には、できるだけ早めに動物病院を受診することが大切です。
痒みの原因:アトピー性皮膚炎とアレルギー性皮膚炎
犬の皮膚炎の中でも、特に多く見られるのがアトピー性皮膚炎とアレルギー性皮膚炎です。どちらも痒みを主な症状とする病気ですが、原因や特徴には明確な違いがあります。
<アトピー性皮膚炎>
主にハウスダストや花粉などの環境要因に反応して起こるアレルギー反応です。体質的にアレルギーを起こしやすい犬に多く見られ、慢性的な痒みが続くことが特徴です。顔や足先、脇の下など、よく動かす部分に炎症が出やすい傾向があります。
<アレルギー性皮膚炎>
特定の食材に対してアレルギー反応を起こすことで症状が現れます。特定のドッグフードやおやつなどを摂取したあとに痒みが強くなる、あるいは下痢や嘔吐を伴うことがあるのが特徴です。
また、ノミやダニといった寄生虫の存在が痒みの原因となる場合もあります。こうした皮膚炎との違いを見極めるためにも、獣医師による診断が重要です。
診断方法
犬が足を頻繁に舐めるようになったとき、皮膚炎が疑われる場合には動物病院での診断が必要です。原因を特定するために、以下のようなステップで診察が行われます。
①問診
いつから足を舐めているか、どの時間帯に多いか、生活環境や食事内容に変化があったかなどを飼い主様から詳しく聞き取ります。
②視診・触診
実際に皮膚の状態を観察し、赤みや炎症の範囲を確認します。
③検査
必要に応じて、皮膚の細胞を採取して顕微鏡で確認したり、アレルギー検査や血液検査を行ったりします。
治療方法
皮膚炎は原因に応じて治療方法が異なります。
<炎症や痒みが強い場合>
ステロイドや抗ヒスタミン薬を用いて症状を抑えることがあります。
<食物アレルギーが疑われる場合>
アレルギー対応の食事に切り替えることで改善が見られることもあります。
<シャンプー療法>
皮膚を清潔に保つための専用シャンプーを使ったスキンケアも治療の一環として行われます。
慢性的に症状が続く場合は、定期的な通院や検査が必要になることもあるため、獣医師と相談しながら無理のない治療プランを立てていくことが大切です。
ご自宅でのケア
愛犬の足の状態を日常的にチェックすることは、皮膚炎の早期発見に非常に有効です。散歩後や就寝前など、毎日同じタイミングで足の裏や指の間に赤みや傷がないかを確認しましょう。
また、外から帰った際には足をぬるま湯や濡れタオルで優しく拭き取ることで、花粉やホコリなどのアレルゲンを取り除くことができます。
舐める頻度が増えたり、赤みが強くなったりした場合には、すぐに動物病院へ相談しましょう。
よくある質問
Q:愛犬が足を舐めるのをやめさせるにはどうすれば良いですか?
A:まずは原因を特定することが重要です。ストレスによるものであれば、散歩や遊びの時間を増やして気分転換を図ることが有効です。環境の変化や留守番の時間が影響している場合もあるため、生活のリズムを見直してみましょう。まずは獣医師に相談し、医学的な原因がないかを確認することが大切です。
Q:シャンプーはどれくらいの頻度で行うべきですか?
A:症状や皮膚の状態によって異なりますが、一般的には1週間に1回が目安です。ただし、必要に応じて部分的に洗浄する方法が推奨されることもあります。自己判断せず、必ず獣医師と相談のうえ適切な頻度を決めてください。
まとめ
犬が足を舐める行動には皮膚炎やケガ、ストレス、習慣などさまざまな原因が潜んでいます。特に、皮膚が赤くなっている場合は皮膚炎の可能性が高く、放置すると症状が悪化する恐れもあります。
最近では、トリミングサロンで「足の皮膚が赤い」と指摘され、病院で皮膚炎と診断されるケースが増えてきています。愛犬の健康を守るためには、日頃から足の状態をしっかりチェックし、少しでも異変を感じたら早めに動物病院を受診することが大切です。
正しい診断と治療、そしてご自宅での丁寧なケアを通して、愛犬が快適に過ごせる毎日をサポートしていきましょう。
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