2023.04.21 犬や猫のノミ・マダニ予防医療の重要性について│軽く見ていると危険かも!?
犬や猫では、ノミ・マダニの予防を行うことが重要です。さまざまな疾患の原因になり、人間にも悪影響を及ぼす可能性があります。
本記事では、犬、猫におけるノミ・マダニの予防診療の重要性について解説していきます。
ノミ・マダニ予防の重要性
ノミ・マダニ予防は、犬、猫の病気を防ぐために重要です。
犬や猫がノミ・マダニに感染してしまうと皮膚炎や血液疾患などさまざまな病気をもたらします。
また、ノミ・ダニは小さいためなかなか発見できず、知らず知らずの間に病気が進行していくこともあるため注意が必要です。
同居している動物にノミ・ダニ感染が広がる場合や人間にも感染し病気を引き起こす場合もあるため、飼い主様は、しっかりとノミ・マダニの予防を行うようにしましょう。
ノミ・マダニがもたらす疾患の代表例
ノミ・マダニがもたらす代表的な疾患は下記のとおりです。
・ノミアレルギー性皮膚炎
・SFTS(重症熱性血小板減少症)
・瓜実条虫症
・バベシア症
順に解説していきます。
ノミアレルギー性皮膚炎
ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミによって引き起こされるアレルギー性の皮膚炎です。
当院エリアではノミの予防をしていない犬猫に、よくみかけます。
ノミの繁殖する夏場に腰背部の脱毛や痒み、皮膚炎が症状として見られ、駆除剤を使用することで、症状の改善が見込める疾患です。
SFTS(重症熱性血小板減少症)
SFTS(重症熱性血小板減少症)はマダニによるウイルス感染症です。
マダニによって犬や猫にウイルスが感染すると発症する恐れがあります。
症状としては、発熱や消化器症状、黄疸があらわれ、血液検査では血小板の減少や肝酵素、黄疸の数値の上昇が見られます。
人にも感染し、10〜30%の確率で死に至ってしまうこともある恐ろしい疾患です。
瓜実条虫症
瓜実条虫症は、ノミが媒介する寄生虫感染症です。
多数の瓜実条虫が寄生していないと無症状ではありますが、症状があらわれると肛門周囲の痒みや体重減少、下痢、嘔吐などが見られるようになります。
また、犬猫の寝室やトイレに片節(白ごまのようなもの)がにたくさん落ちている場合には感染の可能性があります。
生活環境を清潔に保ち、ノミの駆除薬を適正に使用することが予防法です。
バベシア症
バベシア症は、マダニによって媒介される原虫感染症です。
症状としては、貧血、黄疸、食欲不振、脾腫などが見られます。場合によっては、輸血が必要になることもある病気です。
飼い主様は、しっかりダニの予防を行い、草むらなどのノミ・マダニがいる環境にペットを近づけないようにすることが大切です。
その他、ノミの吸血により子猫が貧血をおこす場合もあり、命に関わる危険性もあるので予防を行うことは非常に大切です。
ノミ・マダニの予防方法
犬や猫のノミ・マダニによる病気を予防するためには、生活環境の見直しとノミ・マダニの駆除薬を適正に使用することが大切です。
普段の生活から、ノミ・マダニなどがいる草むらの近くには連れていかないようにしましょう。
また、駆除薬を月に1回与えることで体についているノミ・マダニを落とせます。
おやつタイプやスポットタイプなどさまざまなタイプがあるので、わんちゃん・ねこちゃんに合った駆除薬を使用してあげるのがおすすめです。
まとめ
本記事では、犬猫のノミ・マダニ予防の重要性について解説してきました。
ノミやマダニが媒介する病気は多く、他の動物や人間にも感染が広がる場合があります。
また、中には致死率の高い病気もあるため注意が必要です。
飼い主様は、犬猫の健康を守るためにもしっかりとノミダニ予防を行うようにしましょう。
予防に関する記事はこちらでも紹介しています。
フィラリア予防診療の重要性について
茨城県下妻市・筑西市・八千代町を中心に診察を行う 稲川動物病院
0296-30-1311
【参考文献】
・ノミアレルギー性皮膚炎
獣医内科学第2版 p545-546
・SFTS
東京都獣医師会
https://www.tvma.or.jp/activities/guidance/infections/sfts/
・瓜実条虫
獣医内科学第2版 p215-216
・バベシア症
獣医内科学第2版 p639