ブログ

2023.03.31 フィラリア予防診療の重要性について│毎年実施するのには理由があります!

前回、高齢の犬や猫に受けてほしい予防診療として、混合ワクチンの解説をしましたが、混合ワクチンと同様に毎年欠かさず実施していただきたいのがフィラリア予防です。(前回の混合ワクチンの記事はこちら)
フィラリア症は、感染し、発症すると治療が難しく、命を落とすこともある病気ですが、毎年予防を行っているもののどのような病気かよく知らないという飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はそのような方に向けて、フィラリア症の予防について詳しく解説していきます。

フィラリア症とは

フィラリア症は、犬糸状虫症とも呼ばれる寄生虫感染症であり、主に犬に感染するケースが多く見られますが、猫にも少なからず感染することがあり、猫では感染すると重症化することもあります。
主に夏場の蚊によって媒介され、感染すると心臓や肺動脈に寄生し、肺高血圧症、右心不全といった病気を引き起こします。症状としては、

・咳
・散歩で歩きたがらない
・喀血
・腹水
・呼吸困難

などが見られることが多いものの、感染してから発症するまで2~3年かかることも多く、たとえ発症していなかったとしても実は既に感染している、ということもあり得る病気です。
そのため、
「予防はしていないけど特に症状が出ていないから大丈夫」と考えるのは危険であると言えます。

フィラリアの予防が必要な理由

フィラリア予防が必要な理由としては、フィラリア症が非常に重症度の高い病気であり、治療も困難である点が挙げられます。
治療方法としては症状を和らげる対症療法や、外科手術で心臓内のフィラリア成虫を摘出する方法などがありますが、

一度心臓や肺にダメージ負うと完治させることが難しく、そのまま命を落としたり、お薬を飲み続けないといけなくなったりします

一般的に心肺障害の治療やフィラリア成虫の駆除には2〜3年かかることもあり、費用も予防薬の何倍もかかります。
そのため、治療が必要な状況になる前に、確実に予防することが重要です

また、
投薬は必ず月に1度実施することが重要です
フィラリアは犬に感染した第3期幼虫(L3)が犬の体内で成虫まで発育してフィラリア症の原因になります。予防では前1ヶ月間に感染したL3と、それが成長した第4期幼虫(L4)を駆虫しますが、それ以上成長した第5期幼虫(L5)に対しては予防薬が効きません。L3は2か月でL5に成長するため、節約のために1か月以上投薬間隔を空けたり、推奨より早く投薬終了したりすると危険です。
獣医師から指示された投薬期間は必ず守るようにしましょう。

フィラリアの予防法

フィラリア症の予防は、基本的には、月に1回の予防薬を投与することで行われます。フィラリア
また、フィラリア症の予防を始める前にフィラリア感染検査が必要です。

検査が必要な理由は、既にミクロフィラリアと呼ばれる小さなフィラリアに感染している場合、お薬を投与することでアナフィラキシーショックを起こすことがあるためです。
そのため前年度の薬が残っていたとしても安易に投薬せず、毎年欠かさず感染検査を行ってから予防薬を投与するようにしましょう

予防薬の種類は、

・粉薬や錠剤、おやつタイプなどの内服薬
・背中にたらす滴下タイプの外用薬

などさまざまなタイプがあり、お薬が苦手な犬や猫でも投薬ができるよう工夫されています。
※当院ではフレーバー錠、おやつタイプ、スポット剤を取り扱っています

フィラリアの感染は、蚊が多くなる夏場によく見られるので、飼い主さんは、本格的な夏場を迎える前に動物病院を受診して、フィラリア予防薬を処方してもらいましょう。
特に茨城県は河川や田園が多く、蚊が多く発生する地域でもあるため、欠かさずに予防しましょう

まとめ

本記事では、フィラリア症について解説してきました。
フィラリア症は、適切に予防することで確実に防ぐことができる病気ですので、
大切なご家族の健康を守るためにも、毎年欠かさず予防しましょう。
予防を開始する時期やそれに伴う検査、お薬の種類など、ご不明な点があれば当院までご相談ください。

茨城県下妻市・筑西市・八千代町を中心に診察を行う 稲川動物病院
0296-30-1311