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2023.04.03 高齢猫に多い「乳腺腫瘍」について│避妊手術と日々のスキンシップが予防のカギ

高齢のメス猫に多い腫瘍性疾患として、乳腺腫瘍が挙げられます。この腫瘍は、非常に悪性度が高く、体のさまざまな臓器に転移してしまうこともあるので注意が必要です。
本記事では、高齢猫に多い疾患である乳腺腫瘍について解説していきます。

原因

乳腺腫瘍には、体中に転移したり、炎症を引き起こしたりするような悪性度の高いものと良性のものが存在します。
犬においては、良性と悪性の割合は、50%ですが、猫の場合は、乳腺腫瘍の約90%が悪性と言われている非常に悪性度の高い腫瘍です

乳腺腫瘍の原因には、性ホルモンが関与していると言われており、避妊をしていないメスでは発生リスクが高まります

高齢猫に多い病気ではありますが、早ければ6歳前後で発生するケースもあります。

症状

乳腺腫瘍の症状としては、乳房付近に硬い「しこり」や塊などの腫瘤が見られます
この腫瘤が自壊したり、炎症を起こすとひどく腫れたりする場合もあるので注意が必要です。

また、腫瘍が進行すると体のさまざまな臓器に転移が見られます。
転移する臓器としては、肺やリンパ節などが考えられ、転移する場所によって呼吸困難などの症状が見られる場合もあります。

診断方法

外科的に腫瘍を切除して、組織検査を行います。
また組織検査前に乳腺腫瘍かどうか判断つかない場合には、針を刺してみて細胞診を行い、脂肪腫や肥満細胞種、乳房炎などの可能性を除外することもあります。

治療方法

乳腺腫瘍の治療方法としては、腫瘤と乳腺を切除します
猫の場合は、悪性度が強いので、両側4対の乳腺を全て切除することが推奨されており、最も生存期間が長くなります。

また乳腺腫瘍は、性ホルモンが関与しているため、子宮と卵巣の摘出を行う場合もあります。
手術後は、腫瘍の悪性度や転移の有無、年齢などを考慮して抗がん剤を使用するかどうか獣医師との相談が必要になることもあります。

なお、乳性腫瘍は転移してしまうと治療が非常に困難で、発見から数ヶ月以内に亡くなることも珍しくありません。
腫瘤が小さくても転移の可能性があるため、この後解説する方法で、確実に予防することが重要です。

予防方法

乳腺腫瘍を予防するためには、子どもの時からの対策が必要です。
猫の場合、子猫が生後6ヶ月を迎えて初回の発情を迎える前に、避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の発生リスクは0.5%に抑えられます。
1回目の発情が終わってしまっても2回目の発情前に避妊手術を行うと、発生率は8%となります。

そのため、
生後半年を超えたらなるべく若い年齢時に避妊手術を行ってあげることで乳腺腫瘍を予防できるでしょう
また、高齢猫になってきたら、こまめにお腹に触ることで、腫瘤ができていないかどうかをチェックしてあげることを習慣にしてあげてください

乳腺腫瘍でも、転移する前に早期発見して、摘出すると生存期間を伸ばすことができます。
普段のスキンシップ時にチェックしてあげると良いでしょう。

まとめ

本記事では、猫の乳腺腫瘍について解説してきました。
猫の乳腺腫瘍は悪性度が高く、転移しやすい腫瘍です。

そのため飼い主さんは、避妊手術を行うか検討し、日々のスキンシップで腫瘤がないかどうか意識してチェックしてあげてください。
もし、何らかの腫瘤を発見した場合には、早めに動物病院を受診しましょう。

乳腺腫瘍と同じく高齢猫に多い病気の「甲状腺機能亢進症」についての記事はこちら

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