2024.10.17 動物病院を嫌がる犬猫はどうしたらいい?|連れて行くのは可哀想・・・と思っていませんか?
全体の8割以上の犬や猫は、動物病院に恐怖・不安を感じていると言われています。
大騒ぎしたり、スタッフに攻撃してしまう子も珍しくはありません。
そして愛犬・愛猫が動物病院嫌いだと、可哀想だから連れて行きたくないな・・・と思ってしまう飼い主様も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
かといって、病院から足が遠のけば、ペットの健康を保つことに支障が出てしまいます。可愛がっている大切な伴侶だからこそ健康管理もきちんとしてあげたいものですよね。
今回は、動物病院が苦手な犬や猫を病院に連れて行くための対策についてご紹介します。
病院嫌いになる原因
動物は病院に行く理由を理解することができません。そのため知らない場所に連れて行かれ、知らない人に体を触られたり、注射など痛いことをされれば、当然恐怖(身の危険)を感じます。
特に1回目は大丈夫でも、繰り返し同じような体験をすると「ここは怖いところだ」と学習し、回を重ねるごとに病院を嫌いになってしまうことが多いです。
診察における体験はもちろんのこと、病院までの移動、待合室での他の動物の匂いや気配なども、それらに不慣れな犬猫にとっては怖い体験となります。
性格による違いはあり、神経質な子や痛みに敏感な子ほど病院が苦手になりやすい一方で、人懐こくおおらかな性格の子では比較的なりにくいでしょう。
また子犬の時から病院スタッフと触れ合ったり、おやつをもらったりする機会が多かった子は病院嫌いになりにくいです。
来院のストレスを減らすために飼い主様ができること
・あらかじめキャリーケージや、車に慣らしておく:自宅でキャリーの中でおやつをあげたり、犬であれば車で楽しい場所に出かけたりして、日常的に良い印象をつけておく
・なるべく待たずに済む日時を選んで来院する
・キャリーの中に家の匂いのついた敷物などを入れる
・外の様子が見えないようにキャリーにカバーをかける
・動物が落ち着いて待てる場所で待たせてもらう
・診察の前に動物の性格を病院スタッフに伝える
・病院では暴れてしまっても叱らず、落ち着いた声でなだめる・褒めるようにする
・診察内容に支障がなければ、診察前後に好物(おやつ)を与える
上記を実施するだけでも、動物が不安になる要因をかなり減らすことができます。診察前に不安を募らせてしまうと、診察がより怖いものに感じてしまいますので、家を出る時から対策をしてあげることが大切です。
来院前のお薬について
病院が苦手な犬や猫に、気持ちを落ち着かせる薬をお家で飲んでから来院してもらうという方法があります。
不安や恐怖感が和らぐため、来院に伴う動物のストレスを軽減することができます。また移動や来院の際に生じる粗相や嘔吐、攻撃行動などにも効果が期待できます。
日本での認知度はまだ低いですが、欧米ではPre-Visit Pharmaceuticals(PVP)と呼ばれ、動物福祉の観点からも推奨されており一般的に使われています。
使われるお薬は抗不安作用(不安な気持ちを和らげるお薬)や、軽い鎮静作用のあるお薬になりますが、いずれも副作用は少なく安心して使えるお薬です。(※現在動物用に認可されたお薬はないため、人用のお薬を使用します)
<お薬を使用する場合の流れ>
・まずは飼い主様から動物の性格や病院での様子、来院の目的をおうかがいし、その子に合わせて来院方法及びお薬のご提案をします。
・お薬については必ず獣医師が処方し、ご不安がないよう説明をします。
・高齢の子や、持病のある子では安全に使用できるよう配慮をします。また、事前にお試しで飲んだ様子をご自宅で観察していただき、お薬の効き具合を確認する場合もあります。
・当日は来院する2〜3時間前にお薬を飲ませ、連れてきていただきます。
<実際の例>
実際に来院前のお薬 (PVP) を使ってもらった犬猫の例をご紹介します。
・猫のAちゃんが健康診断に来院したが、暴れてしまい採血すらもできなかった。後日PVPを飲んでから再来院してもらったところ、採血もレントゲン撮影も実施でき、その後もPVPのおかげで毎年健康診断ができている。
・犬のBちゃんが目の病気で受診したが、顔を触られるのが苦手だったため噛みつこうとしたり動いてしまい十分な検査ができなかった。PVPを飲んでから来院してもらうようにしたところ、口輪をつければ検査ができるようになった。その後もPVPを使用しながら通ううちに検査にも慣れ、口輪をしなくても簡単な検査はできるようになった。
・伸びすぎた爪を切りたいが、今まで病院にかかったことがなく、おとなしく処置できるか不安である、と犬Cちゃんの飼い主様からご相談があった。少量のPVPを処方し、飲んでから来院してもらってスムーズに爪切りができた。
上記の例のように、一回の来院はもちろん、繰り返しの通院に対しても効果があります。
まとめ
動物病院が苦手な愛犬・愛猫を連れて来院するのは飼い主様にとって気が重いものですが、健康管理もきちんとしてあげたいものです。
今回の記事ではなるべく動物にストレスをかけずに受診するために、できることをご紹介しました。
PVPは、動物・飼い主・動物病院スタッフ、皆にメリットがあります。処置がスムーズに行えるため、動物にかける身体的・精神的負担も減らすことができます。
ただしPVPを利用しても苦手なことが全く平気になるわけではありません。病院スタッフ及び飼い主様が、なるべく怖がらせないようその子の性格に合わせた配慮をしてあげること・無理はさせないことも大切です。
病院の苦手なわんちゃん・猫ちゃんの飼い主様も、まずはご相談ください。
茨城県下妻市・筑西市・八千代町を中心に診察を行う 稲川動物病院
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