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2024.11.19  愛犬の嘔吐や下痢が続いている|犬の胃腸炎について

愛犬が数時間のうちに何回も吐く、一日中吐いている、食欲がない、下痢が続いている、元気がない、といった症状はありませんか? これらの症状が見られる場合は、「胃腸炎」の可能性が考えられます。胃腸炎は、多くの飼い主様が直面することの多い病気です。

今回は犬の胃腸炎について、症状や原因、治療方法などを解説します。

■目次
1.胃腸炎とは
2.症状
3.原因
4.診断方法
5.治療方法
6.予防方法
7.犬の胃腸炎に関するよくある質問(FAQ)
8.まとめ

胃腸炎とは

胃腸炎とは、胃や腸の粘膜に炎症が起こる状態を指します。犬では、急性胃腸炎と慢性胃腸炎の両方のケースがありますが、多くは急性胃腸炎で、突然発症し比較的短時間で改善するケースがほとんどです。

 

症状

胃腸炎の主な症状には、嘔吐や下痢、食欲低下が見られます。嘔吐の場合、食べ物や胆汁(黄色がかった液体)、胃液(透明や白い泡を含んだ液体)などが含まれることが多く、少量の血が混じることもあります。ただし、大量の血液を吐く場合は、緊急の治療が必要になる可能性があるため、早めの対応が重要です。

下痢の形状はさまざまで、マヨネーズのような軟便から水のような水様便や血便、黒っぽいタール便まで幅広く見られます。特に、便に大量の血や黒い色が見られた場合は症状が悪化する可能性があるため、早急な治療が必要です。

そのほかにも、元気消失や脱水症状(皮膚の弾力が低下したり、目がくぼんだりする)が見られ、さらに重症化すると発熱などの症状が現れることもあります。

 

原因

犬が胃腸炎を引き起こす原因は多岐にわたりますが、主に以下が挙げられます。

・不適切な食事(腐敗または汚染された食べ物、不適合な食事内容、急な食事の変更)
・異物の誤飲
・有害植物の摂取
・薬の副作用 など

また、感染症(ウイルス、細菌、寄生虫)やアレルギー反応、ストレスも原因となることがあります。

さらに、膵炎や腫瘍、内分泌疾患など他の重篤な病気が隠れている可能性があります。そのため、症状が重い、長引いている、悪化している場合は早期の診断と治療が重要です。

 

診断方法

胃腸炎の診断では、問診や身体検査に加えて糞便検査を行います。さらに必要に応じて血液検査、X線検査、超音波検査などを組み合わせて総合的に判断します。
診察の際、下痢の症状がある場合は便のサンプルをご持参いただくと、より正確な診断が可能です。

 

<問診>

症状が現れた時期や持続期間、排便や嘔吐の回数、便の状態、食事内容、異物を飲み込んだ可能性などを確認します。

 

<身体検査>

体温や脱水の程度、腹部の状態を触診で確認します。

 

<血液検査・糞便検査>

糞便検査では寄生虫や細菌感染の有無を確認します。血液検査では炎症マーカーや電解質バランス、肝臓や腎臓の機能などをチェックします。

 

<X線検査・超音波検査>

異物や腸閉塞の有無、腸管や他の臓器の状態を詳しく観察します。

 

また、必要に応じて、内視鏡検査や生検なども追加で行うことがあります。

 

治療方法

胃腸炎の治療方法は、原因や症状の重さによって異なります。軽度の場合は、まず12〜24時間の絶食を行い、胃腸を休ませることが基本です。その間、水分補給が重要となり、経口や皮下点滴で体の水分バランスを整えます。さらに症状に応じて、制吐剤や整腸剤、胃粘膜保護剤などの対症療法を行います。
胃腸炎の症状が中程度から重度の場合には、入院治療が必要になることがあります。入院中は、静脈内点滴で水分補給や電解質バランスの調整を行い、症状に応じてお薬の投与を行います。さらに、消化しやすい特別食を少量ずつ頻繁に与える食事管理も重要です。

子犬は体力がまだ十分ではないため、症状が続くと低血糖や低体温になるリスクがあります。そのため、早めに動物病院で診察を受けることをお勧めします。

 

予防方法

犬の胃腸炎を予防するには、適切な食事管理が重要です。まず、品質の良いドッグフードを選び、人間用の食べ物は与えないようにしましょう。また、ドッグフードを変更する際は、急に切り替えず、少しずつ新しいフードを混ぜるなどして徐々に行うことが大切です。

さらに、散歩中の拾い食いに注意し、家庭内にある危険なものは犬が届かない場所に保管するなど、誤食を防ぐ工夫も大切です。また、定期的な健康診断や予防接種の実施、食器や水飲み器の清潔維持、定期的な駆虫、適度な運動でストレスを軽減することも胃腸炎の予防に役立ちます。

 

犬の胃腸炎に関するよくある質問(FAQ)

Q: 胃腸炎の症状が見られたら、すぐに病院に連れて行くべきですか?

A: 軽度の症状であれば、12〜24時間ほど様子を見ても構いません。ただし、症状が24時間以上続く、血液を含む嘔吐や下痢がある、食欲が全くない、水が飲めない、元気がなくぐったりしている、子犬や高齢犬の場合、他の持病がある場合は早急に受診してください。

 

Q:胃腸炎は他の犬にうつりますか?

A:胃腸炎の原因によっては感染性のものもあります。特にパルボウイルスなどのウイルス性胃腸炎は非常に感染力が強いです。原因不明の胃腸炎の場合は、念のため他の犬との接触を避けることをお勧めします。

 

Q:胃腸炎の治療にはどのくらいの期間がかかりますか?

A:軽度の急性胃腸炎であれば、適切な治療により2〜3日で改善が見られることが多いです。ただし、原因や症状の程度によっては1週間以上かかる場合もあります。慢性腸炎では、長期の投薬や食事管理が必要になることもあります。そのため、改善が見られない場合は、再度獣医師に相談することが重要です。

 

まとめ

胃腸炎は犬によく見られる病気ですが適切な対応と予防により、ほとんどの場合は管理が可能です。症状が気になる場合は、早めに獣医師に相談することが大切です。また、愛犬の健康を守るためには、日頃から適切な食事管理と生活環境の整備を心がけましょう。

 

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