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2026.02.13 猫の咳が止まらない?|見逃されやすい「気管支疾患」と受診の目安

愛猫が「ゲッゲッ」と吐くような仕草を繰り返したり、「コォーコォー」という乾いた音を伴って首を伸ばすような動作をする様子を見て「毛玉を吐こうとしているのかな」と感じたことはありませんか?

しかし、このような仕草をするにも関わらず何も吐かない、という場合は、実は吐き気ではなく咳である可能性が高いです。健康な猫が日常的に咳をすることはほとんどないため、このような症状が見られる場合、呼吸器の病気が隠れている可能性があります。

なかでも「気管支疾患」は、症例数がそれほど多くはないものの、咳の仕草が毛玉を吐く動作とよく似ているため見逃されやすく、診断が難しい病気のひとつです。さらに猫は不調を隠す傾向があるため、飼い主様が異変に気づいたときには、すでに症状が進行しているケースも少なくありません。

だからこそ、「いつもと少し違うかもしれない」と感じた段階で早めに動物病院へ相談することが、愛猫の健康を守ることにつながります。

今回は猫の気管支疾患について、症状や診断方法、治療方法などをご紹介します。

■目次
1.猫の気管支疾患とは?
2.飼い主様が気づきやすい猫の気管支疾患のサイン
3.緊急性の判断|このような症状があればすぐに動物病院へ
4.診断方法・治療方法
5.「病名よりも症状の安定」が重要|獣医師による適切なコントロール
6.まとめ


猫の気管支疾患とは?

猫の気管支疾患とは、気管や気管支といった呼吸器に炎症が生じることで、咳や呼吸の異常がみられる疾患の総称です。代表的な病気としては、「慢性気管支炎」や「猫喘息」などがありますが、いずれも症状がよく似ており、見た目だけで明確に病名を判断するのは容易ではありません。

また、猫は本能的に痛みや不快感を隠す性質があるため、呼吸器の不調があってもあまり表に出さず、飼い主様が気づいたときには症状が進んでいる場合もあります。さらに、咳の仕草が毛玉を吐こうとしているように見えることも多く、早期発見を難しくしている要因の一つです。

このように、猫の気管支疾患は確定診断が簡単ではなく、詳細な病名の特定よりも「症状の異変に早く気づき、動物病院で診てもらうこと」が何よりも重要になります。

飼い主様が気づきやすい猫の気管支疾患のサイン

猫の咳や呼吸の異変には、飼い主様が比較的気づきやすいポイントがあります。以下のような症状が続く場合には、気管支疾患が関係している可能性があります。

・咳が続いている、あるいは咳が止まらない
・呼吸の際にゼーゼー、ヒューヒューといった音がする
・呼吸が普段より早く、胸やお腹の動きが大きい
・食欲や元気はあるものの、明らかに呼吸が苦しそうに見える

これらの症状はあくまで一般的な目安であり、猫によって表れ方には個体差があります。「少し違和感があるかも」と思った場合には、早めの受診をおすすめします。

また、診察の場では緊張などの影響で症状が確認できないことも少なくありません。そのため、上記のような症状が表れている場合は、ご自宅で動画を撮影し、診察時に獣医師へ見せることをおすすめします。動画は、症状を正確に把握するための大切な手がかりになります。

緊急性の判断|このような症状があればすぐに動物病院へ

気管支疾患の中には、短時間で容態が急変するケースもあります。特に以下のような症状がみられる場合には、様子を見るのではなく、すぐに動物病院を受診してください。

・口を開けたままで呼吸をしている
・横になれず、立ったまま同じ姿勢で動かない
・呼吸が苦しそうで落ち着かない様子が続いている

これらの症状は命に関わる可能性もあるため、緊急性が高いサインと考えられます。なお、症状が上記にぴったりと当てはまらない場合でも、「受診すべきかどうか判断がつかない」と感じるときは、迷わずご相談ください。電話での相談からでも構いません。大切なのは「相談する」という行動です。自己判断で見過ごすことのないようにしてください。

診断方法・治療方法

気管支疾患の診断や治療には、猫の体に負担をかけないことが大前提です。当院のような一次診療施設では、大学病院で行われるような「気管支肺胞洗浄(BAL)」や「気管支鏡」といった麻酔を伴う侵襲性の高い検査は、基本的には第一選択として行いません。

まずは以下のような、猫への負担が比較的少ない検査を中心に行います。

・問診(普段の様子、症状の経過、ご自宅で撮影した動画の確認など)
・聴診(呼吸音の確認)
・胸部レントゲン検査
・血液検査

これらの情報を総合的に判断し、症状の程度や進行具合を評価します。

治療については、症状を和らげる「対症療法」が中心となります。具体的には、内服薬やネブライザー(吸入器)を用いて呼吸の状態を安定させます。原因が明確な場合には、その治療もあわせて行います。また、呼吸状態が非常に悪い場合には入院の上、酸素吸入を行うこともあります。

「病名よりも症状の安定」が重要|獣医師による適切なコントロール

猫の気管支疾患は、病名を細かく分類することよりも、今その子にどのような症状が出ていて、それをどのように安定させるかを重視すべき病気です。特に初期段階では、外来診察の中で得られる情報をもとに、いかに早く的確に判断できるかが治療の質に直結します。

当院では、動物にかかるストレスを最小限に抑えることを第一に考えつつ、飼い主様との丁寧なコミュニケーションを大切にしています。診察では「すぐにすべてを調べる」のではなく、「無理なく継続できる治療計画」をご提案できるよう心がけております。

一次診療の現場だからこそできる、柔軟かつ現実的な対応が、結果として猫の体への負担を軽減し、治療の成功につながっていきます。

まとめ

猫の咳や呼吸の変化は、気管支疾患のサインである可能性があります。毛玉や一時的な不調と判断しがちですが、実際には見逃されやすく、診断が難しい病気であることも少なくありません。

また、症状の見分け方には個体差が大きく、自己判断だけでは限界があります。だからこそ、少しでも異変を感じた場合には、迷わずご相談ください。早期に診察を受けることで、猫の負担を抑えた治療が可能となり、安心につながります。

なお、当院では猫の性格やご家族の生活スタイルに配慮しながら、無理のない治療方針をご提案いたします。何か気になる様子があれば、その段階で遠慮なくご相談ください。飼い主様と猫の両方が安心して過ごせるよう、スタッフ一同、全力でサポートいたします

 

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