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2026.01.22  シニア期の犬や猫の関節疾患に要注意|ジャンプできない・散歩をすぐやめるのは痛みのサイン?

シニア期の犬や猫が、歩き方に違和感を見せたり、散歩中に急に立ち止まる姿を見かけたりしたことはありませんか?愛犬や愛猫にそのようなサインがあっても「高齢だから仕方ない」「まだ歩けているし大丈夫」と思ってしまう飼い主様は決して少なくありません。

また、犬や猫は本能的に痛みを隠そうとするため、明らかな症状が見えにくいことがよくあります。関節に不調があっても我慢して動いてしまい、気づいたときにはすでに症状が進行しているというケースも少なくありません。

実際に診察をしていると、飼い主様が見逃してしまった小さなサインから、進行した関節疾患が見つかることもあります。だからこそ、早い段階で「ちょっとした違和感」に気づくことが非常に重要です。

今回は、犬や猫の見落とされがちな関節疾患の初期サインと、その後の治療方法などについて解説します。

■目次
1.関節疾患とは?
2.散歩では見えない!室内に潜む「微細なサイン」
3.犬と猫、それぞれの気づきにくいポイント
4.「何もしていない=現状維持ではない」関節疾患の進行
5.診断方法と治療方法
6.まとめ


関節疾患とは?

関節疾患とは、関節の構造に異常が生じ、痛みや可動性の低下を引き起こす病気の総称です。特に加齢や筋力低下といった体の変化に伴って発症するケースが多く、シニア期の犬や猫でよく見られます。

以下は、代表的な関節疾患です。

<変形性関節症(関節炎)>

関節の軟骨がすり減っていき、炎症や骨の変形を引き起こします。軽度の跛行、段差を避ける、動き始めがスムーズでなくなるといった行動の変化が見られるようになります。

<股関節形成不全>

骨盤と後肢の骨をつなぐ部分にゆるみが生じることで発症します。腰を左右に振りながら歩く(いわゆる“モンローウォーク”)や、両後ろ足を同時に使って跳ねるように走る姿が特徴的です。遺伝的な要因で若齢から発症することもありますが、高齢になるにつれて変形性関節症へと移行することもあります。

<膝蓋骨脱臼>

膝のお皿(膝蓋骨)が本来の位置から外れてしまう疾患です。片足を浮かせたまま歩いたり、スキップするような動き、片方の後ろ足を上げて後方に伸ばす動きが見られたりすることがあります。

さらに、関節疾患は犬に多いイメージがあるかもしれませんが、最近では猫にも非常に多いことが明らかになってきました。ある研究では、12歳以上の猫の約9割が関節の異常を抱えているという報告もあります。

なお、関節疾患が進行すると、痛みの増加により行動や性格に変化が表れることがあります。これまで穏やかだった子が急に怒りっぽくなる、動き回らず寝てばかりいるなど、生活の質(QOL)の低下に直結するため、できるだけ早期に対応することが大切です。


散歩では見えない!室内に潜む「微細なサイン」

関節疾患による影響は、外での散歩よりも、むしろ普段の生活環境の中でこそ表れやすいものです。明らかな跛行や歩行異常が出る前に、以下のような「ささいだけれど見逃してはいけないサイン」が見られることがあります。

・お座りや立ち上がりに時間がかかる
・寝返りを打たず、長時間同じ姿勢でいる
・寝起きの動きがぎこちない
・ごはん皿の前にいるのに、すぐに食べ始めない
・しっぽの振り方が弱くなる
・体の特定の部位を触られるのを嫌がる
・遊びをすぐにやめてしまうようになった

これらは「年齢のせい」と思ってしまいやすい変化ですが、実際には痛みや不快感が背景にある可能性が高いです。なお、犬や猫は言葉で痛みを訴えることができません。だからこそ、日々の行動からサインを読み取ることが、飼い主様にとって大切な役割となります。

当院では行動診療科も設けており、こうした生活の中の微細な変化から病気の兆候を読み解く診療にも力を入れています。


犬と猫、それぞれの気づきにくいポイント

犬と猫では、関節疾患の初期サインの表れ方に違いがあります。以下のように、それぞれに特有の「気づきにくいサイン」があるため、注意して観察してみましょう。

<犬の場合>

・階段やソファに登りたがらなくなる、登る動作がゆっくりになる
・散歩を途中で切り上げたがる
・フローリングの上で踏ん張れず、滑ってしまう
・足先を擦って歩く

<猫の場合>

・ジャンプをためらったり、高い場所に行かなくなったりする
・毛づくろいの頻度が減り、背中や腰まわりに毛玉ができる
・爪研ぎをあまりしなくなる
・トイレがはみ出すようになる、粗相する

特に猫は、痛みを隠す傾向が犬よりもさらに強く、症状がかなり進行してからでないと明らかな異常が見られないことが多いため、日常のちょっとした変化を見逃さないことが重要です。


「何もしていない=現状維持ではない」関節疾患の進行

関節疾患は、自然に良くなることはほとんどなく、放置すればするほど悪化の一途をたどります。痛みが増して動かなくなることで筋肉が落ち、さらに動けなくなるという悪循環に陥ってしまいます。重度の場合には歩行が困難になるだけでなく、排泄のトラブルにもつながることもあります。

「足をひきずっていないから問題ない」と安心するのではなく、「なんとなく動きが鈍くなった」「最近ちょっと違う」と感じたその瞬間に、適切なケアを始めることで、今後の生活の質を大きく左右することができるのです。


診断方法と治療方法

関節疾患の診断には、まず飼い主様からの問診に加えて、以下を行います。

・身体検査
・歩行観察
・神経学的なチェック
・画像診断(必要に応じてX線検査や超音波検査を実施)

また、治療の選択肢は以下のように多岐にわたります。

・鎮痛薬や抗炎症薬の投与
・サプリメントによる関節のサポート
・関節に作用する注射療法
・理学療法(運動療法や温熱療法など)
・関節に優しい療法食や食事の見直し

また、ご自宅での環境改善も症状の悪化防止に効果的です。滑り止めマットの設置や体重管理の徹底、ソファや階段などの段差を減らすといった工夫も有効です。

飼い主様の気づきが早ければ早いほど、治療の選択肢も広がり、より快適な生活を取り戻す可能性が高まります。

当院では、治療内容についても丁寧にご説明し、不安な気持ちに寄り添いながら診療を進めています。


まとめ

犬や猫の関節疾患は、明らかな跛行や痛みの表現がなくても進行していることがあります。実際に、「まだ歩けているから大丈夫」「年齢的に仕方がない」と考えて様子を見ていた結果、後になって重度の関節疾患が見つかったり、特に中型犬以上では寝たきりになってしまうケースもあります。

また、本当は痛みがあるのに、それを隠して我慢している犬や猫は少なくありません。「なんとなく違和感があるけれど、病院に行くほどではないかもしれない」と迷われるような段階こそ、ぜひご相談ください。

当院では、飼い主様の小さな気づきを大切にし、的確な検査と治療につなげていきます。ストレスを最小限に抑えた診療とわかりやすい説明を心がけておりますので、どうぞ安心してご来院ください。

 

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