2025.11.19 犬や猫が水をよく飲む?おしっこが多い?|見逃してはいけない水分量と尿量の基準
愛犬や愛猫が「たくさん水を飲むのは健康な証拠」「おしっこがきちんと出ているから大丈夫」と思ったことはありませんか?
しかし、飲水量や尿量が多すぎたり少なすぎたりする場合、体内で何らかの異常が進行していることがあります。見た目は元気そうでも、腎臓やホルモンの病気などを発症している可能性があるため、日々の変化を見逃さないことがとても大切です。
今回は犬や猫の多飲多尿について、正常な水分摂取量や尿量の目安からご家庭でのチェック方法、考えられる病気、診断方法などをご紹介します。

■目次
1.正常な飲水量・尿量の目安を知ろう
2.ご家庭でできる測定・チェック方法
3.多飲多尿で考えられる主な病気
4.放置は危険!「様子を見る」ことで悪化する理由
5.検査と診療の流れ
6.まとめ
正常な飲水量・尿量の目安を知ろう
犬や猫が1日にどのくらい水を飲んで、おしっこをしているかを具体的にご存じでしょうか?正常な飲水量と尿量の目安は以下の通りです。
<飲水量の目安>
犬と猫ともに「体重1kgあたりおよそ50ml/日」が目安です。
たとえば、体重5kgであれば約250ml程度が通常の飲水量となります。これに対し、体重1kgあたり100mlを超えている場合「多飲」と判断される可能性があります。反対に、20ml以下であれば「少ない」と考えられます。
<尿量の目安>
犬と猫ともに「体重1kgあたり約30ml/日」が目安です。
ただし、体重1kgあたり尿量が50ml/kg以上になると「多尿」とされ、7ml/kg以下であれば「乏尿」と判断されることがあります。
ただし、これらの数値はあくまで一般的な目安であり、季節や食事内容(特にウェットフードかドライフードか)、運動量などによって個体差があります。そのため、飼い主様ご自身が愛犬や愛猫の「普段の状態」をしっかりと把握しておくことが、異常に気づく第一歩となります。
ご家庭でできる測定・チェック方法
水を飲む量や尿の量は、以下のように飼い主様ご自身でも日常的にチェックすることが可能です。
<飲水量の測定方法>
給水ボトルや水入れボウルに目盛りがついていれば、それを利用して1日にどれくらい飲んでいるか確認することができます。飲み始めと終わりで水の減りを確認し、量を計測してみましょう。
<尿量の測定方法>
ペットシーツの重さを量ることでおおよその量を把握できます。排尿前後にシーツの重さを比べることで、日々の変化を数字として確認できます。猫の場合は、おしっこで固まったトイレ砂の塊を写真に撮っておき、その大きさを定期的に比べることで変化に気づくことができます。
また、尿の色やにおい、排尿の回数、トイレに行く時間帯の変化なども、体調の異変を察知する重要なサインです。
このように、数値や具体的な様子を記録しておくことで、わずかな変化にも気づきやすくなり、病気の早期発見につながります。
多飲多尿で考えられる主な病気
飲水量や尿量の異常が見られた場合、背景にはいくつかの疾患が隠れていることがあります。代表的な病気は以下の通りです。
<腎臓病>
慢性腎臓病の初期では、腎臓が尿を濃くする「濃縮機能」が低下し、薄くて量の多い尿が出るようになります。この段階では尿がしっかり出ているため、「大丈夫そう」と思われがちですが、実際には腎臓の機能が少しずつ低下し始めていることがあります。尿量の増加とともに飲水量も増加します。そのまま進行すると、腎臓の働きが損なわれていき様々な症状が現れます。
腎臓の働きが大きく損なわれた末期の状態では尿がほとんど出なくなりますが、このような乏尿の症状は慢性腎臓病よりも、尿管閉塞やユリ中毒などの急性腎障害で生じることが多いです。
▼猫の慢性腎臓病の症状や治療方法についてより詳しく知りたい方はこちら
<糖尿病>
体内の血糖値が高くなることで、余分な糖を尿に排出しようとするために水を大量に飲み、結果として尿量も増加します。飲水量・尿量の両方が増えることが糖尿病の特徴です。
▼猫の糖尿病の症状や治療方法についてより詳しく知りたい方はこちら
<ホルモン異常>
クッシング症候群や甲状腺機能亢進症といったホルモンのバランスが崩れる病気では、体内の水分調整がうまくできなくなり、結果的に多飲多尿がみられるようになります。
▼犬のクッシング症候群の症状や治療方法についてより詳しく知りたい方はこちら
▼猫の甲状腺機能亢進症の治療方法や予防法についてより詳しく知りたい方はこちら
このように、病気によって多飲多尿が最初のサインとして現れることがあります。病気の進行を防ぐためには、この初期のサインを見逃さず、早めに気づくことが大切です。
放置は危険!「様子を見る」ことで悪化する理由
「飲水量と尿量は多いけど、食欲もあるし、元気に見えるからもう少し様子を見よう」と思ってしまう飼い主様もいらっしゃるかもしれません。しかし、多飲多尿が現れている時点で、体内ではすでになにかしらの異常が進行している可能性があります。
特に腎臓病は「静かに進行する病気」と言われており、外見からは異常が分かりにくいため、気づいたときにはすでに病状がかなり進んでいることも少なくありません。そのため、少しでも異変に早く気づき、検査や治療を始めることで、病気の進行を抑えられる可能性があります。
愛犬や愛猫がたとえ元気であっても、「なんとなくいつもと違う」と感じたら、迷わずに早めの受診を心がけることが重要です。
検査と診療の流れ
犬や猫に多飲多尿が見られる場合、動物病院では以下のような流れで検査を進めます。
①問診
1日の飲水量やおしっこの回数、色、においなどを飼い主様に詳しく伺います。日々の変化を観察・記録しておくと、診断に役立ちます。
②身体検査
視診や触診、聴診などの基本的な身体チェックを行い、異常がないかを確認します。
③各種検査
以下のような検査を組み合わせて原因を調べていきます。
・尿検査:尿の比重、たんぱく質や糖の有無などを確認します。
・血液検査:腎臓の機能や血糖値、電解質などの異常を調べます。
・超音波検査:腎臓や膀胱の構造に異常がないかを確認します。
なお、検査の内容や診療の流れは、個々の症状や状態によって異なります。これらの検査に対して、疑問点や不安なことがあれば、いつでもスタッフにご相談ください。
まとめ
犬や猫の「水を飲む量」や「おしっこの量」は、健康状態を映す大切なサインです。たとえ一見元気そうでも、こうした日常の変化の裏には病気が潜んでいる可能性があります。そのため、普段の様子をしっかり観察し、「何かが違う」と感じたときは、決して様子を見ず、早めに動物病院へご相談ください。
当院では、飼い主様とのコミュニケーションを大切にし、犬や猫にできるだけ負担をかけない検査・診療を心がけています。小さな変化に気づくことが、愛犬・愛猫の未来を守る第一歩になります。飲水量や尿量が気になった際には、ぜひお早めに当院までご相談ください。
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